よくある質問/ F&Q

1.ネパールで外国企業を設立する場合

(1) 最低資本金はいくらですか

事業あたり外国企業は最低50,000ドル相当の出資が必要である。

 

(2) どのような許認可が必要ですか

ネパ―ルで外国投資を行う事業者は、事業を開始する前に、外国投資許可を政府より取得しなければならない。許可申請は投資額に応じて、産業局(DOI)もしくは、ネパール投資庁(IBN)にて実施する。 ネパールへの外国資本の参入及び事業の実施の詳細規定は、外国投資及び技術移転法(FITTA)1992に記載される。

 

(3) 認可機関はどこですか

下記3カ所の認可が必要になる。

1. 会社登録(工業局会社登録事務所)

2. 外国投資許可取得(工業局)

3. 事業登録(工業局)

 

(4) どのような資料が必要ですか

下記の資料が必要となる。

  • 基本定款(MOM、Memorandum of Association) 2部
  • 付属定款(AOM、Articles of Association) 2部
  • 法令に従い必要となる特定事業許認可等の事前登録や規約等の証明書 1部
  • 執行権限を与えられた者のパスポート写し 1部
  • 証人/連署人の身分証明書 1部
  • 監督署官庁からの外国投資許可証の写し 1部

※関係企業代表者または個人の発行する、登記作業代理人に対する委任状(日本側委任状は認証済みのもの)

 

(5) 企業の形態はどのようなものがありますか

非公開会社(Private Limited Company)

公開会社(Public Limited Company)

支店形式事業(Branch Office)

連絡事務所形式事業(Liaison Office)

 

(6) 形態別の活動内容はどうなっていますか

非公開会社

  • 株主の数は、101人に制限されている
  • 株式の一般公募は禁止されている
  • 取締役数は11名を上限とする

公開会社

  • 株主の数は最低7人必要だが、上限はない
  • 最低1,000万ネパールルピー(約10万米ドル)の資本金が必要
  • 株主に一人でも女性が居る場合は、少なくとも一名の女性取締役を要する
  • 会社法(Company Act)、証券法(Securities Act)に基づき、ネパール証券取引所(NEPSE, Nepal Stock Exchange)における株式公開・公募が可能

支店形式

  • 工業局会社登録事務所にて支店登録を行う事になる。
  • 開設許可料として10万ネパールルピー。

連絡事務所形式

  • 工業局会社登録事務所にてLiaison Office登録を行う事にある。
  • 開設許可料として5万ネパールルピー。

(7) 1社で複数の事業はできますか

1社で2つの事業を行う場合の最低出資金は100,000ドル、別会社を設立してそれぞれで別の2事業を行う場合にも100,000ドルが必要である。同一会社で複数の事業を行うほうが、会社登録は一度で済みますので、若干便利である。

 

(8) 取締役を派遣したいのですが可能ですか

1 社に4人の日本人取締役(無報酬)は可能である。ただし、当地の労働法により難しい規定がある(技術を持った人など)ので、1人あたり50,000ドル相当の外国投資を行い、会社の取締役になるのが良い。

 

(9) 法人税率について教えてください

ネパールでは、所得税法(Income Tax Act) 2002に則って、個人及び法人の所得に所得税が課税される。法人税、個人所得税、給与所得税など、全て所得税法に規定されておりこれらの所得税の管理管轄は財務省(Ministry of Finance)傘下の歳入局(IRD, Inland Revenue Department)で行われる。

 

(10) 付加価値税について教えてください

ネパールは約20年前にVAT(Value Added Tax, VAT、付加価値税)制度を導入した。VATはほぼ全ての商品やサービスに賦課されており、これを管理管轄しているのは歳入局(IRD, Inland Revenue Department)のVAT課である。年間売上高が約5万ドル以上の個人や企業は、VAT登録をした上で、VAT管理番号の取得が義務付けられている。VATは一律13%の税率だが、納税者(中間業者)は、仕入れに対して支払ったVAT(Input VAT)を、販売に得たVAT(Output VAT)から差し引いて納税することとなる。輸出品に対するVATは免税されるため、輸出業社は仕入れに対して支払った全てのVAT(VAT Input) を請求できる。ただ、VAT 非対象商品や非対象サービスについては、請求をすることはできない。

 

(11) 利益の外貨による送金は可能ですかまたその場合の許認可の方法はいかがですか

税務その他の法的義務を滞りなく果たすことにより、以下の通り本国送金が認められる。本国送金許可の最終決定はネパール中央銀行によってなされるが、このためには各業界の投資案件実務を担当する官庁からの推薦状(Recommendation)が必要となる。担当官庁は具体的には、産業局(DoI)および投資庁(IBN)のいずれかに加えて、電力業界の投資案件であれば、電力開発局(Department of Electricity Development)とエネルギー省(Ministry of Energy)それぞれからも、推薦状を要する。通信業界であればネパール通信庁(Nepal Telecom Authority)と通信省(Ministry of Communication)の推薦となる。

(12) 個人所得税について教えてください

外国人の所得税率 

番号 業務内容 税率
通常の業務で得られる収入 25%
A 輸送、航空運輸、テレコミュニケーション・サービス、郵便、衛星、光ファイバー・プロジェクトを提供することで得られる収入。 5%
B ネパールの領域を通してのテレコミュニケーション・サービスの航空運輸、輸送を提供し収入を得た場合 2%
C ネパール居住者の送金 5%

※最初の入国から183日未満の滞在者は非居住者として所得税の対象にはならない。1年間で183日以上滞在する場合は居住者として所得税を納入される。

ネパール人の所得税率

個人

番号 内容 課税額 税率
1 年収 350、000ルピー 350、000 1%
2 年収 450、000ルピー 100、000 10%
3 年収 650、000ルピー 200、000 20%
4 年収 2、000、000ルピー 1、350、000 30%
5 年収 2、000、000ルピー以上 ―― 36%
配偶者ありの場合
1 年収 400、000ルピー 400、000 1%
2 年収 500、000ルピー 100、000 10%
3 年収 700、000ルピー 200、000 20%
4 年収 2、000、000ルピー 1、300、000 30%
5 年収 2、000、000ルピー以上 ―― 36%

 

(13) 製造業を設立したいのですが、原材料を輸入して製品を作って国内販売したいのですが、可能でしょうか。またその方法を教えてください。

100%外国企業が現地市場での製品販売のために100%原材料を輸入することは可能である。しかし、外国企業は現地の資材を10%使用し、現地市場向けに30%の付加価値税を課されるべきである。

2. ビザについて

(1) ビザの種類、取得方法と有効期間について教えてください

ネパールに滞在する外国人に対して発給されるビザには、さまざまなカテゴリがある。本項では、事業に従事する外国人の滞在に必要となる、以下の主要なビザについて解説する:ツーリスト(Tourist)、ノン・ツーリスト(Non-Tourist)、ビジネス(Business)、居住(Resident)、非居住ネパール人(Non-Resident Nepali)ツーリスト(TOURIST)ビザ

ネパールに入国する者は、初回60日間の滞在が許されている。また、1カレンダー年(西暦で1月1日~12月31日)の内、滞在合計日数が150日になるまで(追加で90日まで)ビザの更新が可能である。ツーリストビザは、ツーリストの本国にある在外公館、又は到着時の入国地点にて、所定の料金を支払う事で取得できる。所定の料金、必要書類、必要日数等は、都度、当該窓口に要確認。

  • ノン・ツーリスト(NON-TOURIST)

ビザ外国人がネパール政府から事前の許可を得て、ネパールの企業やその他組織にて、報酬の有無に関わらず、一定期間業務を行おうとする際、当ビザが必要となる。1回の交付につき最大1年間の有効期限にて発行され、必要と認められれば延長できる。ただし、3か月を超えるビザ申請には、内務省(Ministry  of  Home  Affairs)の許可が必要となる。

また、投資に先だって事業調査や業界調査を行いたい場合には、産業局(DoI)または投資庁(IBN)からの推薦状(Recommendation)を取得することにより、6ヶ月を超えない期間内でノンツーリストビザを取得することができる。

  • 駐在員用ノン・ツーリストビザ

企業やその他組織が、業務上必要な技能を持った人員をネパールで確保できない場合、事業者は、労働許可(Work Permit)を取得することにより、外国人を雇用することができる。外国投資許可機関(産業局(DOI)又はネパール投資庁(IBN))及び労働局(Department of Labor)から推薦状の交付を受け、1回の交付につき1年間有効なビザが付与される。必要に応じて、5年まで延長することが認められている。

  • ビジネス(BUSINESS)ビザ

ビジネスビザは、関係政府機関の推薦により、以下の外国人(及びその家族)に付与される

– ネパールで外国投資許可を取得した外国人、及び当該企業から任命された外国人

– ネパールで輸出貿易事業の許可を取得した外国人

–  ネパール産製品を外国へ輸出するための物品仕入れ、もしくは発注のために、ネパールを訪れている

外国人(輸出貿易事業の許可取得は必要)1回の交付につき最大5年間有効なビザが発給され、有効期限は必要に応じて延長される。

  • 居住(RESIDENTIAL)ビザ

10万米ドル相当(又は両替可能な外国通貨での同等額)の投資を一括で行った外国人は、その投資金額に応じて、産業局(DoI)、又はネパール投資庁(IBN)の推薦により、当該ビザを取得できる。1度の交付につき1年間有効。

  • 非居住ネパール人(NON-RESIDENT NEPALI)ビザ

外国籍を持つネパール出自の外国人が、ネパールでの居住や、事業・商取引を始める場合、又は就学・教育・研究活動へ従事する場合、当該ネパール出自の外国人及びその家族に対して、最大10年間有効の非居住ネパール人ビザが付与される。

3. 輸入について

(1) 100%の外国企業が輸入販売はできますか

100%外資企業は製品の輸入はできない。

 

(2) 輸入税率はどのように決められていますか

ネパールでは輸入品への関税を、輸入地点にて課税している。国際統一商品分類(HS:Harmonized Commodity Description and Coding System)を採用しており、商品分類及び税率は、商品分類ごとに付与されたHSコードに沿って規定されている。

関税額の計算には、輸入品の運賃保険料込み条件(CIF:Cost, insurance, and freight)が採用され、評価手法は世界貿易機構(WTO)及び 関税及び貿易に関する一般協定(GATT:General Agreement on Tariffs and Trade)の国際基準に準ずる。一般的に、原材料品に課される税率は、完成品より低い傾向にある。又、ネパールで生産されていない生活必需品に対しては、低い税率が課される傾向にある。

関税は通常、商品の価格ベースで賦課されるが、一部例外的に数量又は重量ベースで賦課される商品もある。商品によって、関税率に0-80%の幅があり、多くの原材料は0-10%の税率に収まる。他方、完成品及び消費財は概ね5-30%の税率が課されている。80%の関税が課される商品は自動車、武器弾薬、パイプタバコ等の一部商品に限定される。尚、輸入品への関税は、地域間や国家間で規定された貿易協定の有無によっても左右される。海外企業が直接ネパールへの輸入や貿易業務に従事することはできないが、ネパールに対して輸出する形での関与は可能である。

 

(3)外国企業が製品を輸入販売する方法があれば教えてください。

100%外資企業は製品の輸入はできません。従い現地企業に資本参加し、合弁企業として輸入できる。

 

4.輸出について

(1) 経済特区(SEZ)のインセンティブを教えてください

・経済特区内での会社設立は許認可制。許認可(ライセンス)の最長期間は30年とするが、当該会社が生産能力の30%以上の能力を使っていればさらに10年の期間延長が可能。

 

・経済特区内に設立された会社が設立後3年間に支払う土地または家屋の賃借料については、以下減額を受けることができる。

a.初年度は50%を減額

b.2年目は40%を減額

c.3年目は25%を減額

 

・所得税の減免措置:経済特区内に設立された会社は、最初の5年間の所得税を100%免除とする。その後は、国内原材料を60%使用している会社については以後10年間の所得税を50%減免、これに当てはまらない会社については以後5年間50%減免とする。

 

・所得税報謝措置(rebate):丘陵地帯またはヒマラヤ山岳地帯に設置された経済特区に設立された会社は、最初の10年間の所得税が100%免除され、さらにその後の10年間は50%免除となる。

 

・配当金課税の減免措置:経済特区内に設立された会社の配当金は、最初の5年間は100%所得税免税、その後の3年間は50%の免税となる。

 

・付加価値税(VAT)の免除:経済特区内に設立された会社が、

(a) 製品またはサービスを輸出する場合、

(b) 製品または原材料を経済特区内に設立された他社に販売する場合、

については、VAT規定から免除される

 

・関税の減免措置:

(a) 経済特区内に設立された会社は政府に銀行保証状を差し入れすることにより、原材料および副材料や、パッケージ材料その他の材料の輸入に課される関税や、プラント・機械・機材、工具やスペアパーツへの関税の支払いを猶予される。また会社の規模と業務内容により、車両に課される関税について、最大3台までの猶予を受けることができる。

(b) 経済特区内に設立された他社に対して輸入品を販売する会社は、関税の還付を受けることができる。

 

・外貨による投資ライセンス保持者に対する特例措置:

(a) 経済特区への投資を外貨で行った海外投資者は、監督官庁と交わした覚え書き(MoU, Minutes of Understanding)に基づいて、その投資元本の全部または一部、配当金、貸付金の元金および利息の額を、合意済みの外貨で本国送金する権利を有する。

(b) 外貨による投資ライセンス保持者は経済特区開発機構の推薦状に基づいて、市中銀行の外貨口座を通じて外貨取引をすることができる。

 

(2) 輸出加工区はありますか。その申請方法は?

ネパールには輸出加工区 (Export Processing zone)の制度はない。保税倉庫ライセンスの取得することがベストである。

この保税倉庫の申請は次の書類を整えてDepartment of Custom、Ministry of Financeに申請し、書類受領後15日以内に申請場所の検査が行われ承認がでれば許可される。保税倉庫の許可さえDepartment of Customから取得できれば、その企業の場所そのものが保税倉庫となる。

必要書類は以下の通り。

1.会社登録

2.外国投資許可

3.会社の定款

4.企業登録証明書

5.輸入原料のL/C

6.輸入税の115%相当の銀行保証

 

製品を輸出する際、輸出税の10%をボンドから差し引かられる。これはサービスチャージである。

(正し、ネパール原産地する場合は、その10%サービスチャージも不要である。)

 

(4) 輸出加工区での原料の輸入方法について教えてください。

(a)完成品輸出の場合の原料輸入税はかかりますか

原料によっては80%の関税が課せられるケースがある(HSコードベース)

(b)無税での輸出は可能ですか

ネパール原産地を輸出する場合は無税での輸出も可能である。(HSコードベース)

 

5.植物検疫について仕組みを教えてください

(1) ネパールから輸出する場合;

植物検疫証明書は、植物保護法・規則(Plant Protection Act・Rules)に即し

て、植物検疫所(Plant Quarantine Post)により発行される。同検疫所は必要

に応じて、輸出される種・植物・植物製品の調査を行い、適切な処置を施す。

(2) ネパールへ輸入する場合;

ネパールへの納入

適用される法令;plant protection act 2007 (植物保護条例2007)

管轄部門:農業局

輸入手順(輸入企業が申請する)

輸入許可申請(entry permit EP)

申請先:植物検疫所

必要書類 (1)輸入企業の会社登録証明書

(2)輸入企業の会計番号(PAN)および付加価値税番号VAT)

(3)輸出企業からのインボイス

入許可審査 (verification of application)

検査官(inspector)による書類審査に基づき輸入許可証(entry permit EP)が出される

輸入検疫 (inspection at entry point)

商品が 入国税関に到着時、植物検疫官 (plant quarantine officer)によって検疫検査が行われる。

・必要書類

(1)EP

(2)輸出国で発行された植物検査証オリジナル(phytosanitary certificate)

(3)輸出入に関する契約書、インボイス、パッキングリスト、L/C

・検査内容

(1)識別検査(identity checking) 現物、数量、検査内容、梱包方法

(2)目視検査(visual inspection) 梱包材、包装材、残留土、異物、雑草、病気の症状、梱包容器内の残土

(3)必要に応じて、サンプリングとラボ検査が行われる。

輸入許可 (release order)

輸入検疫をパスすれば、商品の輸入が許可される。

 

6.円借款案件について

円借款案件の場合(無償案件でも同様ですが)期間が限定されているため、外国投資許可、会社登録、事業許可は必要ありません。(応札前に事務所を設置する必要はありません)極端に言えば、連絡事務所の設置も必要ありません。但し、円借案件の場合にはincome taxの還付手続きが発生しますので、落札された場合には会計番号取得、付加価値税番号に関する登録が必要になります。

円借款プロジェクトの場合事業主はネパール政府の省庁になります。円借款案件のコンサルタントサービスに応札する際には連絡事務所の設置は不要です。

 

7.技能実習生の送り出し機関(人材派遣コンサルティング会社)を運営について

技能実習生の送り出し機関(人材派遣コンサルティング会社)を運営する場合、100%の外資企業は認められていません。国内企業との合弁会社設立が必要です。この場合、外国企業は51%までの株式保有がみとめられています。

尚、技能実習のための企業設立登録は一般的な進出要件と同じですが、スペシャルコース研修がある場合、ネパールのSocial Welfare Council (SWC 社会福祉協議会)からの許可が必要となります。