7月12日:来年度予算発表見通し(カトマンズポスト紙,リパブリカ紙,ヒマラヤンタイムズ紙,ラジダニ紙)

7月12日:来年度予算発表見通し(カトマンズポスト紙,リパブリカ紙,ヒマラヤンタイムズ紙,ラジダニ紙)

(概要)
●来年度予算は今月14日または15日に大統領令を通じて発表される見込み。
●5,060億ルピーを上限とし,民間セクター及び投資促進に重点を置いた通常予算の発表。
●大幅な税制改革はなく,新規事業も限られる。
●制憲議会選挙実施を除き,エネルギー,農業,インフラ,観光を優先セクターとして選定。

1. 7月10日付リパブリカ紙,ヒマラヤンタイムズ紙
(1) コイララ財務大臣は,歳入諮問委員会との協議の際に,民間セクターによる投資を促進するための来年度通常予算を,遅延無く発表すると述べた。選挙管理内 閣である現政府は,一定の制限はあるとしつつも,民間セクターの成長を意識し,投資に友好的な環境作りを念頭に置いた来年度通常予算を,遅延無く発表する ことが出来るとした。また,来年度予算を通じて,納税者が直面する問題を緩和するため,手続きの簡素化や,政策の変更を実施すると述べた。
(2) 財務省経済顧問であるネパール氏は,来年度予算は,民間セクターと政府の関係強化に繋がるものになるとし,また民間セクターが抱えるいくつかの問題について言及しているとしつつも,右セクターに対し,過剰な期待を持たないよう呼びかけた。
(3) スベディ財務次官は,自主的な納税を促す税制の導入や,歳入管理改革を早急に実施する必要性を強調。
(4) バスニャットCNI(ネパール産業連盟)会長や,ラジカルニカールFNCCI(ネパール商工会議所連合会)副会長は,異なる企業や事業に対し,異なるインセンティブが必要であると述べた。

2. 7月10日付カトマンズポスト紙
コイララ財務大臣に対するインタビュー(一部抜粋)
(1) (記者)複数の政党が,来年度予算は一部の政党方針に偏っているとの懸念を表明しているが。
(「コ」 財務大臣)来年度予算は通常予算であり,遅延無く発表されるべきであるということで意見は一致している。財務省として,予算作成過程で,政党の幹部や元財 務大臣など様々な利害関係者と意見交換を行った結果,通常予算発表における障害は取り除かれたと理解している。現内閣は選挙管理内閣であるので,制限はあ る。選挙後に発足された新政府によって受け入れられる予算を発表するつもりである。予算が特定の政党の方針や考えに基づいているということはなく,来年度 予算が物議を醸すことはないと考える。
(2) (記者)一部の元財務大臣は,現政府は税率も変えるべきではないと主張しているが。
(「コ」財務大臣)政府としてその権限はあるが,現在の状況に鑑みると,税率を大幅に変更したり,新たな税を導入したりすることは好ましくない。次期政権によって必要と思われた場合に,同政権によって税制などが変更されるべきであると考えている。
(3) (記者)来年度予算はどういったものになるのか。
(「コ」 財務大臣)国家開発に焦点をあて,特定のセクターを優先することとしている。エネルギー分野を最優先分野とし,次いでインフラ,そしてその他分野が続くこ とになる。水力発電事業や送電線に関連した新規事業もいくつか含まれている。国家優先事業に要する資金は確保している。
(4) (記者)投資環境改善のために,どういった新規政策が来年度予算には含まれるのか。
(「コ」 財務大臣)来年度予算の目標の一つが,投資に友好的な環境を創出し,景況感を高めることである。そのために,必要なインセンティブが含まれた産業企業法の 大統領による裁可に向け,現在準備を進めている。同法律では,民間セクターが直面する多くの課題につき言及している。内閣として,同法律の改正案を基本的 には承認しているが,もし大統領令での裁可が困難な場合は,来年度予算にいくつかのインセンティブを含めることを検討している。

3.7月12日付ラジダニ紙
(1) 財務省官僚によると,財務省は来年度予算発表のための準備を全て完了した。政府は14日に大統領に対し,予算に関する大統領令を発出するよう要請すると しており,可能であれば当日に来年度予算が発表されることになる。国家計画委員会が設定した,5,060億ルピーを上限とした予算を発表する予定。
(2) 制憲議会選挙実施のほかに,エネルギー,農業,インフラそして観光を優先分野としている。選挙実施費用及びその安全対策として,180億ルピーが充てら れ,160億ルピーが公務員の給与や手当増加に充てられるとしている。これらの支出を賄うため,財務省は歳入額の20%増加を目標として設定。
(3) 政府は大規模水力発電事業に十分な予算を確保したほか,農業分野の予算も大幅に増加。また輸出振興,ひいては貿易赤字削減のための政策なども含めた。