デング熱の流行について

●今年はこれまでに、ネパール全土で3,000人に近いデング熱の感染例が報告されており、その多くがラリトプル(パタン)やカトマンズを含むカトマンズ盆地内で発生しています。特に8月中旬以降は急激に感染者数が増加しており、一部の病院ではベッドや検査キットの不足も出始めているようです。
●全国的な大流行があった2019年は、ネパール全土で約18,000人が感染し、6人が死亡しています。今年は同年を上回るペースで感染者数が発生しており、過去の例から見ますと、モンスーン中だけでなく、モンスーン後の9月や10月にもデング熱感染者が増加すると考えられますので、十分注意するようにしてください。
1 デング熱の病原体はフラビウイルス科のデングウイルスであり、ネッタイシマカやヒトスジシマカがウイルスを媒介します。どちらの蚊も昼行性で、特に早朝と夕方に活発に活動します。ウイルスには4つの血清型があり、一度感染するとその免疫を獲得するため、同じ型には終生感染しないものの、別の型に感染すると重症化する確率が高くなると言われています。
2 症状としては、50〜80%は感染しても無症状のまま終わる不顕性感染ですが、有症状の場合には、一般的に感染から3〜7日後に突然の高熱、頭痛、眼痛、筋肉痛、関節痛、発疹(頭と手足を除いた胴体部から始まり、その後に四肢・顔面へ広がる)などが現れます。また、咳や鼻水などの呼吸器症状はないものの、嘔気・嘔吐・食欲不振・胃痛などの消化器症状があり得ます。これらの症状は、通常1週間程度で消失し、後遺症なく回復します。
 重症化した場合には「デング出血熱」となり、胸水、腹水、出血傾向、血小板減少、ショックなどの症状を示すことがあり、適切な治療をしないと致死率は20%を超えます。
3 デング熱に罹患したかどうかを診断するには、医療機関にて血液検査を行う必要がありますので、症状が見られた場合には自己判断はせずに、至急医療機関を受診するようにしてください。もし、本邦帰国後に発熱などの症状が出た場合は(潜伏期2〜14日)、受信先の医師にネパールへの渡航歴やデング熱の流行について伝えるようにしてください。
 また、デング熱には抗ウイルス薬などの治療法はなく、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)などの対症療法のみであり、重症化(デング出血熱)した場合には、輸液や輸血、酸素投与など集中治療が必要になります。
4 日本やネパールで承認されたワクチンはなく、予防策としては、蚊に刺されないように工夫することが重要ですので、次を参考にしてください。
(1)長袖、長ズボンを着用し(なるべく白か明るい色)、素足のサンダル履きは避ける。
(2)虫除け剤等の使用によって、屋外だけでなく屋内でも蚊に刺されないように注意する。虫除け剤はDEETや乳幼児にはイカリジンを配合のものを使用し、使用法に従って、有効時間が切れる前に塗り直す。
(3)室内の蚊の駆除を心掛ける。特にネッタイシマカは屋内に侵入して、机の下やタンスの中にも潜んでいますので注意が必要です。
(4)バルコニーの水たまりなど、蚊の幼虫の発生源を作らないようにする。
5 また以下のリンク先も参考にしてください。
●厚生労働省検疫所FORTH デング熱
●国立感染症研究所 デング熱とは
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